2018/09/17 ニュース

トヨタ、3連勝で選手権首位に! WRC2018 Rd.10 ラリー・ターキー

WRC2018 Rd.10 11th Rally Turkey Marmaris 2018Day1,2

石がゴロゴロする荒れた路面に手こずる

開催はじつに8年ぶりとなる、ラリー・ターキー。2000年代に6回開催されたトルコだが、今回はまったくの新規ルート。クルーたちは全員初走行となるので、ペースノートは1から作ることになり、大変な作業になる。ラリーの中心はトルコ南西の観光都市マルマリス。サービスパークは近郊のアスパランに置かれ、SS総走行距離312.44kmで争われる、オールグラベルイベントだ。目下2連勝中のトヨタ&タナックに注目が集まるが、あいにくこのイベントにはロジスティックの関係上、旧スペックのヤリスを投入せざるを得なかったトヨタ陣営。今年の後半戦で台風の目になっているパワフルなニューエンジンは投入されない。どこまでほかのチームに肉薄できるか、注目したいところだ。デイ1はマルマリスの特設ステージで行われる2kmのスーパーSSのみ。翌日のデイ2から競技は本格的なスタートを切る。天候は晴れ。前日の雨の影響で一部湿った場所もあるが、路面は基本ドライ。風はほとんど吹いていないので、前走車が巻き上げるダストが視界を遮る難しいコンディションとなった。デイ2のオープニングSS2は、いきなりこのラリー最長の38.1km。コースは道幅が狭く荒れた路面が続く。かつてのアクロポリスのように、マシンをいたわりながら走るテクニックが必要になりそうだ。
©️TGR ●ラトバラはラリー前に「アクロポリスのような耐久戦になる」と予想していたが、そのとおりの結果となった
SS3を終えた時点で、早くもトヨタは出遅れる。ラトバラが5位、ラッピとタナックは8位と9位だ。旧スペックのエンジンのせいかは不明だが、ラトバラは「わからない、まったく問題ないはずなのにタイムが出ないことが理解できない」と走行後にコメントしている。午前の3ステージを終えて、トップはヒュンダイのミケルセン。午後のセクションは、午前の3ステージをリピートする。2度目の走行は路面の石がかき出された後なので、ガレ場かと見まがうほど荒れている。SS5、「ここを走ること事態がリスキーだ」とフォードの王者オジェがコメントするほど、コースには大小の石がゴロゴロしているラフなコンディションがクルーを苦しめる。午前中2、3位につけていたシトロエンの2台は、ともにパンクで遅れてしまう。
©️Redbull ●オジェとヌービルは0.3秒差の拮抗したバトルをみせる。しかし……
SS6、7では、トップを走るミケルセンがパンクし、シトロエンのオストベルグはサスペンションを壊しデイリタイアに追い込まれた。SS6でトップタイムをマークしたヒュンダイのヌービルは、SS7の途中でハーフスピンに見舞われるものの、デイ2を首位で終えた。ダストがひどすぎて、先頭スタート(路面掃除役)のハンディはほとんど影響しなかったようだ。手堅く走りきったオジェが0.3秒差で2番手。パンクが影響しミケルセンが3位まで後退してしまった。トヨタ勢はラトバラの4位が最上位。以下5位タナック、7位ラッピと続いている。
デイ2終了時 総合順位1. T・ヌービル(ヒュンダイ) 1h52m28.2s2. S・オジェ(フォード) +0.3s3. A・ミケルセン(ヒュンダイ) +2.6s4. J・ラトバラ(トヨタ) +16.3s5. O・タナック(トヨタ) +32.4s6. H・パッドン(ヒュンダイ) +35.1s




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 WRC2018 Rd.10 11th Rally Turkey Marmaris 2018Day3

壮絶なサバイバル戦でトヨタが残った!

ラフな路面は前日よりも減ってはいるが、依然として荒れたステージが続く。この日も34.24kmのロングステージで幕を開ける。そのSS8、首位のヌービルが突然トラブルに見舞われる。石がヒットするなど衝撃は何もないなかで、走行中に左フロントサスが破損。ダンパーがボンネットを突き破ってしまい、デイリタイアに追い込まれた。2位につけていたオジェは、トラクション不足に悩みながらもトップに立つ。しかし続くSS9、今度はオジェにトラブルが襲う。小さなクレストを越えた着地の瞬間に、右フロントのステアリングアームを破損。このSSはそのまま速度を落としながら走行を続けたが、フィニッシュ後に自ら応急処置を施しTC(タイムコントロール)に6分遅着。1分のペナルティを受けてしまう。SS10は代わって、ヒュンダイのミケルセンが首位に立つ。ステアリングにトラブルを抱えながら、トヨタのタナックは2位に、ラトバラは3位にそれぞれポジションアップした。ラッピもコースオフでデイリタイア。遅れたオジェはこん身のトップタイム。4位で午前のセクションを終える。
©️TGR ●トラブルを抱えながらも手堅く走ったトヨタ勢が残った
サービスを挟んだ午後は、午前の3ステージをリピートする。SS11、挽回を狙ったオジェは、完全に修復されたマシンでアタックを開始するが、ペースノートの聞き間違いという信じられないミスでコースオフ。スタックしてしまいコースに戻れずデイリタイアに追い込まれた。シトロエンのブリーンは車内に煙が充満するトラブルが発生。原因が分からず、途中で様子を見るためにストップし6分半の遅れを喫す。そして、首位のミケルセンにも駆動系のトラブルが発生。後輪駆動になってしまい大きくタイムロスする。そんなトラブル続きのSS11はタナックがトップタイム。チームメイトのラトバラと1-2体制となる。SS12、「慎重に走ったつもりだったんだけど…」とコメントしたラトバラがトップタイム。前のステージ、原因不明の煙に悩まされたシトロエンのブリーンは、なんとクルマから火が上がりマシンが全焼してしまう。続くSS13はタナックがトップタイムを奪い、トヨタの1-2でデイ3を終えた。この日だけで、WRカー5台リタイア。近年まれに見るサバイバル戦となってしまった。この様子にタナックは、「スピードや選手権の順位はもはや関係ない。ステージのコンディションとの戦いだ。マシンと路面に気をつけながら集中して行くよ」とコメントしている。
デイ3終了時 総合順位1. O・タナック(トヨタ) 3h34m22.5s2. J・ラトバラ(トヨタ) +13.1s3. H・パッドン(ヒュンダイ) +1m10.5s4. T・スニネン(フォード) +3m22.2s5. A・ミケルセン(ヒュンダイ) +6m25.4s6. H・ソルベルグ(WRC2シュコダ) +11m55.5s




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 WRC2018 Rd.10 11th Rally Turkey Marmaris 2018Day4

トヨタ1-2フィニッシュ達成! 王座も見えてきた

最終日を1-2体制で迎えたトヨタ。残りは4ステージを残すのみだ。このままゴールすれば、マニュファクチャラーズ選手権でヒュンダイを逆転してトップに立つ。なんとしてもフィニッシュラインを越えるため、タナックとラトバラは慎重な走りでステージをこなして行く。対して、デイリタイア組は最終パワーステージのポイントを狙うのみ。全開アタックだ。オープニングのSS14は、ヌービルがベスト。だが、続くSS15、16はベスト10にも入らないほどスローダウン。パワーステージにかけるため、タイヤを温存する作戦にでたようだ。そのかいあって、最終SS17、ヌービルはオジェと1.7秒差でステージベストを奪い、5ポイントを獲得した。オジェはセカンドベストで4ポイントゲット。
©️Redbull ●ヒュンダイはパッドンとミケルセンがダブル入賞
タナックとラトバラはサードベスト、フォースベストで続き、見事1-2フィニッシュを達成した。これで、2018年のWRCは残り3戦を残してトヨタが選手権リーダーとなった!トヨタがこのまま逃げ切れるか。そして、注目のドライバーズチャンピオンは誰の手に? 大接戦のWRC2018。残り3戦もお見逃しなく!
©️TGR ●タナックは今季4勝目。後半戦のヤリスは速さとタフさに磨きがかかっている

WRC第10戦ラリー・ターキー2018 総合順位1. O・タナック(トヨタ) 3h59m24.5s2. J・ラトバラ(トヨタ) +22.3s3. H・パッドン(ヒュンダイ) +1m46.3s4. T・スニネン(フォード) +4m10.9s5. A・ミケルセン(ヒュンダイ) +7m11.7s6. H・ソルベルグ(WRC2シュコダ) +13m40.6s
WRC2018 マニュファクチャラーズ選手権 ポイントスタンディング1. トヨタGAZOOレーシングWRT 284p2. ヒュンダイシェルモービスWRT 279p3. MスポーツフォードWRT 244p4. シトロエントタルアブダビWRT 169p WRC2018 ドライバーズ選手権 ポイントスタンディング1. T・ヌービル(ヒュンダイ) 177p2. O・タナック(トヨタ) 164p3. S・オジェ(フォード) 154p4. E・ラッピ(トヨタ) 88p5. J・ラトバラ(トヨタ) 75p6. A・ミケルセン(ヒュンダイ) 75p


     

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